タカラバイオが米子会社を通じ、米ペンシルベニア州立インディアナ大学やインディアナ地域医療センターと協力して新型コロナウイルスの迅速で簡便なPCR検査法の開発に取り組んでいる。新型コロナの検査は試薬が高額で時間を要し、地域によっては資材の供給などサプライチェーン上の課題がある。また、既存のPCR検査では検体採取やウイルスRNAの精製過程で検査担当者の感染リスクも問題だ。

 同大学では米食品医薬品局(FDA)の緊急使用許可を受けた複数の新型コロナ検査で使用されているタカラバイオのPCR試薬を組み込んだ新たな検査法を開発。同検査で使用されるタカラバイオの試薬は従来のPCR検査で必要だったウイルスRNAの精製工程を簡略化できるため、サプライチェーンの課題を最小限に抑えながら高い精度と検出感度の維持が見込める。以前は50検体から結果を得るのに5時間かかっていたが、同試薬によって45分でできるようになったという。

 ワクチンの普及が待たれる一方、PCR検査は感染拡大の防止に引き続き重要な役割を担う。膨大な検査負担の軽減につながる今回の取り組みは、課題を抱える地域の解決モデルになるかもしれないと期待を寄せる。成果についてタカラバイオの米子会社では、研究者や生物医学などの専門家と共有するためのウェブセミナーを計画中だ。

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