世界経済フォーラムの年次総会が22日から今日まで、スイスのダボスで開催されている。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、前回はシンガポールに会場を移して開催の機会を探ったが結局中止になった。今年は当初1月としていた時期を延期しての開催だ▼創設者兼会長のクラウス・シュワブ氏は開会にあたり「われわれは、ここに再び対面できたことを喜び感謝するべきだと思う。とても重要なことだ。信頼関係は、直接的な触れあいによってのみ築くことができるからだ」と語った。招待状は届かなかったので意見する資格はないが、老婆心ながら、それでいいのかと思わざるを得ない▼米ギャロップによると、米国で100%在宅勤務が可能な会計事務所の従業員の30%は1日も出社したくないと思っている。ギャロップのCEO自身は対面の有用性を認めているものの、世のCEOには「出社を命じないことを薦めたい」としている▼ダボス会議は従来、閉鎖的なエリートクラブとやゆされてきた。メタバースのように、非対面の限界を乗り越えようとするプラットフォームの開発が進んでいる。リモートワークの洗礼を受けた人の目に対面にこだわる会長の姿は、「転換点にある歴史」とのテーマとは裏腹に、守旧派の権化のように映ったのではないだろうか。(22・5・26)

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