政府が緊急事態宣言を発した7日以降、通勤電車の混雑は緩和された。「この時間帯に余裕で座れるなんて」と向かい側に座る2人連れの会話が聞こえてくる。霞ヶ関の官庁街や丸の内のオフィス街を歩くビジネスパーソンも日を追って減っていく▼新型コロナウイルス感染拡大を受け、大企業の多くは機敏に動いた。テレワークが「必要に応じて」から「積極活用」となり、間を置かずに「原則として~」に至った。先週からは「全社員出社禁止」を指示する企業も相次ぐ▼中央省庁の在宅勤務率は劇的に増えている。交代勤務によってリスクを分散する意味合いもある。一日中モニター画面の前に居ると普段と疲れ方が違うという愚痴も聞こえるが、毎日の出勤者を2割程度まで下げるのが目標▼中小企業はどうか。3月下旬の東京商工会議所の調査では、実施企業は26%、検討中が20%にとどまる。ノートPCやスマホを社員に貸与し、ネット環境を整えるといった体制整備に手が回っていない企業がまだ多いのが実情か▼テレワークは感染防止対策としては有効だが、残業代をはじめとする懸念や問題点も指摘されてきた。目指すべき働き方、雇用を巡るルールのあり方など、より大局的な観点も必要になる。当面は大いに推奨されるだろうが、その中から新たな論点が浮上するかも知れない。(20・4・13)

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