年末に身内に不幸があり、年明けに葬儀を行った。その後も納骨するため、石材店や墓のある市営霊園との打ち合わせなど、初めての経験が待ち伏せていた。特筆すべきは市役所。死亡届の提出や住民票の書き換えはもちろん、年金受給の停止、墓の名義変更など「人が死ぬと、こんなに手続きが数多くあるのか」と思い知らされた▼そして予想通り、「この手続きには◯◯の書類が必要なので、△△課で入手して再度お越し下さい」「◯◯の登録に数日かかるので、登録後に再度△△の窓口で手続きして下さい」とのこと。終には「こちらの手違いで書類に不備がありました。再度お越し下さい」との連絡が。もう何課が何階のどこにあるか空で言える▼9月にはデジタル庁が発足、来年度末には国民全員にマイナンバーカードが行き渡ることを目指しているという。市役所の中を右往左往することもなくなる。そして自分が墓に入る頃には、瞬時にすべての手続きが完了する時代になっているだろう。子供にそう伝えると「便利になるね」と嬉しそうな返事▼しかし恐ろしい疑問に突き当たる。デジタル化されたら、窓口の人々は職を失うのではないか。いや待てよ、記事もすでにAIが書き始めている。記者という職業も不要になるのかと。色々な意味で「死」を考えさせられた。(21・1・25)続きは本紙で

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