トラステック愛知(名古屋市中川区、辻武彦代表取締役)は、除菌装置のラインアップを拡充する。アース製薬から依頼を受け製薬工場向けなどに開発した「ESCO Willmaster」に続いて、新型コロナウイルス対策向けとして病室などの除菌に用いる二酸化塩素ガスを使った小型装置の製品化を目指す。同社は配電制御向けの電源監視装置などを主力事業としているが、除菌装置を新たな事業の柱として育成していく。

 同社は昨年末からESCO Willmasterの本格販売を開始、採用実績が出始めている。2液式(使用薬液=25%亜塩素酸ナトリウム、9%塩酸)の二酸化塩素ガス発生装置で、発生能力は最大で毎時1400グラム。濃度測定に紫外線吸収方式を採用し、除菌する部屋の二酸化塩素濃度を1ppm単位で制御できるのが特徴。

 従来、製薬工場などのクリーンルームの除菌は、他の殺菌薬を使っているが、時間や人手がかかっているのが課題だった。同装置を使うことで、3日前後かかっていた除菌処理を、約3時間に短縮するとともに無人化を実現する。

 同社は産業向けで培った技術を生かして、新型コロナウイルス対策に使える除菌装置のラインアップを増やしていく。開発を進めているのが病室などの除菌に用いる小型の二酸化塩素ガス発生装置。人体への影響を配慮して測定濃度の精度を0・01ppmまで向上。薬液は99・8%の二酸化塩素水を使用する。

 濃度は10ppm程度、数分間で除菌が可能とみている。病室やホテルなどの部屋の除菌は人がアルコール消毒しており、感染リスクが懸念されている。同社は無人化ニーズに応えていくとともにガウン、マスクといった医療資材の除菌にも役立てられると期待する。

 今年内にも装置を完成させるのが目標。その後、愛知県の病院の協力を得ながら安全性、除菌効果を実証する。

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