米国の第46代大統領にジョー・バイデン氏が就任した。これまでの就任式ではパレードなどの行事が行われてきたが、報道をみると華やかな雰囲気はまったくなかった。ワシントンでは大勢の州兵が動員されて厳戒体制が敷かれた。まるで厳しい船出を象徴するかのようだ▼トランプ前大統領は最初から最後までお騒がせ男だった。不法移民対策としてメキシコ国境に壁を建設したり、中国と関税の報復合戦をしたり。身勝手といわれるような大統領令を乱発した。彼に煽動されたとする支持者らが連邦議会議事堂を襲撃する事件も起こった▼国際協調路線に復帰するとされるバイデン政権。パリ協定に復帰するのは世界的に歓迎されるだろう。これによって地球温暖化対策が加速されることが見込まれる▼対中関係はどうなるだろうか。深まった対立がすぐに修復されるとは考えにくい。財務長官となるイエレン氏が中国の不公正慣行にあらゆる手段で対抗すると表明するなど厳しい姿勢で臨むようだ。日本経済にも大きな影響を与えるだけに目が離せない▼日米関係の行方ももちろん気になる。安倍前首相はトランプ氏に近寄って親密な関係を築いた。菅首相はバイデン大統領とどんな関係になるのだろうか。トップ同士の仲の良さが国益に直結する訳ではないが気になるところだ。(21・1・22)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る