脱炭素の潮流のなか、素材や燃料、代替タンパク質などの有用物質を微生物によって作らせる「バイオものづくり」が注目されている。従来の化学合成と違い、常温常圧の発酵プロセスで生産でき、省エネ効果が高い。さらに二酸化炭素(CO2)を原料とする水素細菌を使うことで大量の炭素を固定化できる可能性があるためだ。今後、バイオものづくりの主役となると期待されているのが、目的物質を効率良く作る微生物を開発するバイオファンドリだ。神戸大学の技術・ノウハウを移転し、アジア初の統合型バイオファンドリとして2020年に設立されたバッカス・バイオイノベーション(神戸市)の丹治幹雄社長に同社の特徴と今後の成長戦略について聞いた。

-まずバッカス社の設立の経緯などから教えてください。

 「神戸大学副学長の近藤昭彦教授(バッカス社取締役)がNEDOプロジェクトなどで培った技術・ノウハウを包括的に技術移転してできた大学発バイオベンチャーだ。20年3月に設立され、昨年2月にデフタパートナーズ、ロート製薬、太陽石油の3社から出資を受けて事業を開始した。昨年9月には神戸市ポートアイランドにある「クリエイティブラボ神戸」に第1弾の自社設備を整え、バイオファンドリサービスを開始している。昨年11月には島津製作所と双日からも出資を受けた。「バッカス」とはローマ神話に登場するワインの神だ。世界のバイオイノベーションを牽引するという強い思いから、バイオテクノロジー(醸造技術)で人々に幸福をもたらした神の名にあやかった」

<一気通貫・自動化が強み>

-バイオファンドリといえば、米ギンコバイオワークスが2兆円の時価総額をつけて昨年9月上場しました。その他にも国内で数社設立されています。

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