バリウム塩類の国際市況に先高観測が出ている。主産地中国では、新型コロナウイルス流行の中心地である湖北省の一部主要サプライヤーが操業を停止している。貴州省など他地域の大手は旧正月明け以降稼働を再開しているようだが、各地で移動が制限され、物流が滞ってきているため輸出価格上昇は不可避になるとみられている。
 バリウム塩類は2017年に、中国の環境規制で生産能力が炭酸バリウムベースで3分の1近く削減させられ需給がタイト化。市況は高値圏となっていたが、市場の牽引役となっていた積層セラミックコンデンサー向けを中心に昨年から需要が失速したため、年末には弱含みに転じていた。
 しかし今年に入り新型コロナウイルスの流行が表面化。感染者が突出して多い地域に厳格な隔離政策が行われ、湖北省内にある塩化バリウムなど一部の主要メーカーが旧正月明け以降も操業を再開できず、貴州省などのメーカーから手当てせざるを得ない状況のようだ。
 その他地域のメーカーは旧正月明け以降徐々に操業を再開しているもよう。しかし、17年から数社に絞られているため、出荷要請が集中することで供給に余裕がなくなる懸念がある。加えて、湖北省以外でも移動制限令が敷かれているため、物流にも滞りが出てきているようだ。
 需要が芳しくないこともあってタイト感はなく、輸出価格にも変化はみられない。しかし供給の滞りは当面解消しないとみる向きが多く、値上がりする公算が大きくなっている。

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