相手の立場に立ってモノを考えることができるか。できるようで、なかなか難しい。実際に同じ立場になってみなければ、本当のところは分からない。そんなことを思うのは、イデオロギー対立が激化する世相のせいか、終わりゆく夏を惜しむ気持ちがさせるのか、あるいはパラリンピックを見たからだろうか▼コンビニエンスストアで、電動車椅子に乗った男性と遭遇した。ショーケースの大きなドアと格闘している。手伝いましょうかと声を掛けようとして、ためらった。テレビでパラリンピックを見た直後だったからだ。車椅子から腰を浮かし、なんとか目的のペットボトルを手に取った。これで良かったのだろうか▼先日、2度目のワクチン接種を終えた。副反応のためか、3日ほどは倦怠感で何もやる気が起こらない。一時的な発熱もすぐに収まり、さしたる不調もないはず。だが何もする気になれず、ただ横になっていた。そのような理由で会社を休んでいる人たちがどのような状態なのか、理解した気になった▼3日も休養したので、すこぶる体調が良い。昨日までがウソのように気持ちが充実し、やる気が漲ってきた。やはり、ワクチンの一時的な影響だったのだろう。さて、理解した気になった、やる気が出ない人たちの気持ち。いつまで覚えているのだろうか。(21・8・31)

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