米ファイザーは18日、独ビオンテックと開発している新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」の第3相臨床試験(P3)で、予防効果の有効率が95%に達したとの最終結果を発表した。感染した170例のうちワクチン接種者の感染は8例のみだった。両社はきょう20日にも米国で緊急使用許可(EUA)申請を行う予定。

 米国などで約4万4000例を登録して行ったP3の最終解析結果。新型コロナ感染症を発症した感染例が計170例に達した時点で第三者機関が解析を行った。ワクチン群の感染例は8例、プラセボ群は162例で、予防効果を示す有効率は95%。重症者はワクチン群で1例、プラセボ群で9例あった。65歳以上の高齢者に限定しても有効率が94%を超えた。

 米国食品医薬品局(FDA)が要求している安全性データの収集期間が今週完了し、重篤な有害事象はなかった。副反応で多く報告されたのは、倦怠感(3・8%)、頭痛(2・0%)だった。

 ファイザーなどはこの試験成績を根拠に、数日中に米国でEUA申請する。ビオンテックのウグル・サヒンCEOは海外メディアに、20日にもEUA申請することを明らかにした。問題がなければ12月中旬にもEUAを取得し、年末までに米国で接種が始まると期待している。FDAは承認可否を審議する諮問委員会を12月8~10日ごろに開催する方向。欧州でも段階的な承認審査が始まっており、サヒンCEOは年内の条件付き承認取得を見込む。

 年内に最大5000万回分、来年末までに13億回分の供給を目指し、ファイザーの米国、ベルギー工場、ビオンテックの独工場などで製造する。日本には来年6月末までに1億2000万回分供給で政府と合意。10月から国内P1/2を実施中で、海外P3結果と併せて承認申請する予定だ。

 同ワクチンは、長期保存する場合はマイナス70度前後の保存環境が必須。両社は温度制御できる専用の保冷ボックスを開発しており、ドライアイスを充填すれば15日間保管できるという。GPS対応の温度センサーも搭載し、ワクチン出荷後の位置や温度も追跡可能にした。サヒンCEOによると、超低温管理が不要な改良版のワクチンも開発中で、来年下期の実用化を目指す。 

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