米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会は10日(現地時間)、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスワクチン「BNT162b2」の緊急使用許可(EUA)について議論し、EUAを支持する勧告を出した。11日中にもFDAが正式な許可を出し、現地でワクチン接種が始まる。認められれば、米国で実用化されたコロナワクチン第1号になる。

 外部の専門家らが新規ワクチンなどについて審議する諮問委が開催され、提出された臨床試験結果などを元に有効性、安全性を議論。臨床試験でプラセボ群に入っている被験者がワクチン接種を受ける権利や、その場合の治験データの完全性などについて意見が交わされた。8日から接種が始まった英国でアレルギー反応の有害事象が2例報告されたことや、16、17歳の臨床試験データが少なかったことに懸念を示す意見も出た。多数決の結果、賛成17・反対4・棄権1で同ワクチンを16歳以上に接種する緊急使用を支持する見解をまとめた。

 諮問委の勧告をふまえてFDAが最終的な許可を決める。諮問委への提出資料では、FDAも同ワクチンを緊急使用するために十分な有効性、安全性のデータがあるとの見解を示していた。

 FDAはステファン・ハーン長官のコメントを発表。「審査するFDAの職員自身が、自分の家族にもワクチンを接種させたいと確信が持てるまでは、使用許可は出さないと断言できる」とし、最終判断を出す時期は明言しなかった。現地では11日中にも正式許可が出ると見込んで、出荷作業などの準備が進んでいる。 BNT162b2は英国のほかバーレーン、カナダでも緊急承認され、近く接種が始まる。欧州医薬品審査庁(EMA)も今月末頃に承認を審議する予定。日本でも国内、海外の治験データを合わせて承認申請する。

 ファイザーによると、諮問委でエビデンス不足が指摘された10代(12~17歳)のデータは数カ月以内に出る見込み。12歳未満の小児や妊婦に対する試験も計画している。

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