厚生労働省は10日、ファイザー製の新型コロナウイルス感染症治療薬「パキロビッドパック」を特例承認した。外来患者が服用しやすい飲み薬として2つ目のコロナ治療薬になる。臨床試験では重症化リスクがある患者の入院・死亡リスクを約9割低減する効果が確認されている。14日に配送が始まり処方可能になる。ただし降圧剤や抗凝固薬など併用できない医薬品が約40種類あり、適正使用を徹底するため今月中は特定の医療機関に限定して供給する。

 新型コロナウイルスの増殖を阻害する3CLプロテアーゼ阻害剤「ニルマトレルビル」と、同剤の血中濃度を維持するための抗ウイルス剤「リトナビル」を同時に服用する治療薬。ファイザーが国内外で実施した臨床試験では、発症5日以内に治療を始めた場合、入院・死亡リスクを88%低下させた。ファイザーが承認申請してから1カ月弱で特例承認された。

 投与対象は、12歳以上、体重40キログラム以上で重症化リスクがある軽症~中等症Ⅰ患者。原則として発症から5日以内に治療開始し、1日2回、5日間投与する。

 リトナビルは多くの医薬品に含まれている代謝酵素(CYP3A)の働きを阻害する作用があるため、パキロビッドと併用できない医薬品は約40製品に及ぶ。オルメサルタン、アゼルニジピンといった高血圧治療薬や、リバーロキサバンなどの抗凝固薬もある。

 適正使用を推進するため、今月27日まではコロナ患者受け入れ病床がある医療機関約2000カ所の院内処方に限定して使用を認める。併用できない薬剤のスクリーニング体制などを確認したうえで、月末からは院外薬局でも処方可能にする予定。ファイザーとは200万人分の供給契約を結んでおり、まず4万人分が輸入ずみ。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

セミナーイベント情報はこちら

HP独自・先行の最新記事もっと見る