米ファイザーと独ビオンテックは、両社が共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、英国や南アフリカなどで急増している変異種に対しても有効な可能性を確認したと発表した。ただし、これらの変異種とまったく同じウイルス株を使った研究ではないため、さらなるデータ収集が必要としている。ファイザーと米テキサス大学医学部が行ったイン・ビトロ試験で、査読前論文のウェブサイトに掲載された。

 研究チームは、コロナウイルスの表面にあるスパイク・たんぱく質の変異部位のうち、変異種の感染力をとくに高めているとされる「N501Y」変異を再現したウイルス株を作製。臨床試験で同ワクチンの接種を受けた20人の血清を使って実験したところ、変異していないウイルスと同等にN501Y変異ウイルスに対する中和活性があることを確認した。

 N501Y変異は、英国、南アなどで急増した変異2種に共通している変異。だが南ア系の変異種は「E484K」という変異も高い感染力の要因とされており、ワクチンの有効性を確認するにはさらなる検証が必要という。

 ビオンテックは11日、ワクチンの生産量を5割以上増やす計画も発表した。今年の供給量を13億回分としていたが、自社工場の本稼働や外部委託の拡大などにより、20億回分に増やす。同ワクチンは北米や英国など45カ国以上で緊急承認され、すでに10億回分以上の供給契約を各国・機関と結んでいる。

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