マーケティング戦略論で有名なコトラーは、市場での競争地位によって、企業がとるべき戦略が変わることを指摘した。リーダーは、全方位戦略、チャレンジャーは差別化戦略、ニッチャーは集中(ミニリーダー)戦略を取るべきで、最も弱いフォロワーは、模倣戦略が向いているという▼リーダーとは、同じ業界の中で経営資源が質量ともに最大の企業である。チャレンジャーは、経営資源の量は大きいが、質は劣る企業、ニッチャーは経営資源の質は高いが量的には小さい企業である。最後のフォロワーは質量ともに経営資源が劣る企業だ。量的経営資源とは、ヒト、モノ、カネ、情報など、質的経営資源は技術、ノウハウ、信用、ブランドなどだ▼日本を含めアジアの企業の多くは、欧米(その後は日本など)の企業の真似をすることで事業を始めた。真似をするうちに経営資源を充実させ、やがてニッチャー、チャレンジャー、そしてリーダーへと変貌して行った。模倣は悪ではない。力が無いときや未熟なときの手段なのだ。反対に、競争優位の企業が地位を保つには、簡単に模倣されないような強み(コアコンピタンス)を持つ必要がある▼スマホで動画を繰り返し見ては模倣戦略を実施しているのに、未熟なままなのはなぜか。多数のくぼみを持つあの白球は教えてくれない。(21・9・21)

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