超高齢化社会を迎えて、人生100年時代といわれるようになった日本。人生の後半戦を安心して暮らしていきたいものだが、切実なのがお金の問題。多くの人はできるだけ働き続けて収入を確保したいと思っているだろう▼今年4月からは改正高年齢者雇用安定法が施行される。企業は何らかの形で希望者が70歳まで働けるような仕組みを導入する努力義務が課せられる。そのようななか、複合商社の三谷産業が定年退職を事実上廃止し、無期限の継続雇用制度を制定した▼60歳から65歳になる年度までをマスター社員、66歳となる年度からはマスター嘱託社員(1年ごとの更新)として雇用。65歳まで昇給があるほか、成果に見合った賞与、継続雇用の終了時に2度目の退職金が支給されるなど待遇面にも配慮している▼役職者に対しては原則60歳の「役職定年制」を導入して後進に道を譲る機会を設けた。グループ内でマッチングを図り新たな職場で働くことも可能になる。風通しの良い組織であり続けるための工夫がみられる▼ベテラン社員のやる気を引き出すのは企業にとって共通課題といえるだろう。まず大切なのは存在価値を認めたうえで、選択肢を用意することではないか。それが今後の働き方を見直すだけでなく、新たなモチベーションを生み出すきっかけになるはずだ。(21・2・12)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る