31年前のきょう、東西冷戦の終結を象徴する出来事が起こった。ベルリンの壁崩壊である。その後、世界は中国の台頭、インターネットの普及、グローバル化と激動の時代に突入する。いま米国では新たな大統領が誕生しようとしているが、中国との覇権争いは収まりそうにない。新たな冷戦の時代を迎えている▼日本もこの30年余り、平成という激動の時代だった。バブルの絶頂からどん底まで落ち込み、化学業界では競争力を確保するべく、三菱化学や三井化学の誕生など大型再編が進んだ。21世紀に入り、リーマンショックなどを経てこの10年余り、各社は得意とする技術や製品に経営資源を重点配分するポートフォリオ改革を進め、積極的なM&A(合併・買収)も行ってきた▼日立化成を買収した昭和電工、田辺三菱製薬を完全子会社とした三菱ケミカルホールディングス、ロイバントと戦略提携した住友化学グループにみられるように、エレクトロニクスやヘルスケア分野を中心に、この1年間で大きなカードを切った企業は少なくない▼新型コロナウイルス一色となった令和2年も残りわずか50日余り。化学産業を取り巻く環境は明るさが見え始めたが、来年はどんな年になるのだろうか。令和の時代が何十年続くか分からないが、更に激動の時代となるのは間違いない。(20・11・9)

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