温暖化対策の鍵を握る電気自動車(EV)。現状、バッテリーの主役はリチウムイオン2次電池(LiB)だが、リチウム、コバルト、ニッケルといったバッテリーメタルの調達が課題。先月、小紙でも報じたように生産がコンゴ民主共和国に偏在しているコバルトの値上がりが電池メーカーの収益を圧迫している▼資源ソースの多角化に取り組む必要がある一方、EVの本格普及にはイノベーションが不可欠。航続距離を伸ばすためバッテリー性能を高めることはもちろん、安価な原材料の利用という難題に挑戦しなければならない。しかも安全性の確保が絶対条件▼ポストLiBの覇権を握ろうと開発競争も激しさを増している。安全性が高い全固体電池は小型サイズがお目見えしたが、EVに載せるような大型サイズはどうなるだろうか。トヨタをはじめ開発に力を入れている日本勢に底力をみせてほしいところ▼ナトリウムイオン電池を開発しているのが車載バッテリー世界最大手の中国CATLで、原料が潤沢なのは大きな魅力。高いエネルギー密度を実現できるマグネシウムなどを用いる多価イオン電池も有望視されている▼いずれにせよ技術課題を乗り越えるには材料の開発力が求められる。日系化学メーカーはポストLiBという世代交代の波を大きなチャンスに変えてほしい。(21・9・24)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

精留塔の最新記事もっと見る