マイテック(兵庫県神戸市)と琉球大学は、新型コロナウイルスを2分で可視化する新規検査法を共同開発したと発表した。ウイルスを蛍光標識し量子結晶による光の増強作用(プラズモン増強効果)を利用することで、新型コロナウイルスを簡便操作で可視化し検出することに成功した。患者検体を用いた臨床性能評価ではPCR法との陽性一致率が72~94%と高い診断性能を示した。鼻腔ぬぐい液も唾液も同等に診断が行えるため、自治体を含め多くの問い合わせがきているという。

 マイテックはバイオチップ「プロテオ」表面に1分で金属錯体の結晶(量子結晶)を固相化させる特許技術を有している。今回、琉球大学大学院の金城武士助教の研究チームと新型コロナの診断に応用する研究開発を共同で行い、ウイルスを簡便な操作で可視化できる検査法「CV検査」を確立。沖縄県の患者から採取した臨床検体を用いた検討により、高い診断性能を示すことができた。

 現在主に利用されているPCR検査はウイルス遺伝子を増幅して検出するため、手技が煩雑で結果を得るまでに数時間かかる。迅速抗原検査はどこでも簡単に検査できるが、PCR検査と比較すると感度が低く一度に大量の検査が行えない。

 CV検査では検査時間を大幅に短縮できるだけでなく、測定前の工程が2ステップと簡便なうえで、迅速抗原検査では検出できないような低ウイルス量の検体でも定量的にカウントすることができる。医療現場だけでなく、空港の検疫所や大規模イベントといった短時間に多くの人が来場・通過する場所でも簡単・確実に感染者の特定が行える。今後、研究チームでは全自動検査機器の開発を進めていくほか、さらなる検査精度向上や、より大規模な臨床性能評価も行う予定。

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