◆…なぜ今、国家戦略が必要なのでしょうか。

 「日本はマテリアルの技術を高めてきた一方で、国家戦略という観点が欠落していた。今は強みを維持できているが、いずれ中国などに置き換えられてしまうという危機感がある。例えばLiB(リチウムイオン2次電池)はソニーが世界に先駆けて商用化し、パソコンなどに使われてものすごい勢いで普及した。その功績からノーベル賞を受賞したにも関わらず、生産で中国や韓国勢に抜かれてしまったのは何故か。また、欧州はEUのバッテリー指令を改正し、リサイクル品の使用を義務付けようとしており、ビジネススキームのところで世界のリーダーシップを取ろうとしている」

 「有識者会議ではマテリアルズ・インフォマティクスとプロセス・インフォマティクス、サーキューラーエコノミー(循環型経済)および資源循環の4テーマで議論している。銅精錬では硫化鉱である銅鉱石を酸化させて銅と硫酸を生産する。この発熱反応の余剰熱を利用することで、圧倒的に効率的かつ環境負荷の少ないプロセスが可能だ。また、銅は貴金属と非常に親和性が高く、銅精錬のプロセスを活用することで資源循環、サーキュラーエコノミーに貢献できる。国内ではLiBリサイクルは時期尚早という意見もあるが、20年、30年先を見据え、世界市場で日本の企業・産業が競争力を維持するために国をあげて取り組むべきこととは何かという非鉄業界からの問題提起だ」

 ◆…将来的に電気自動車(EV)社会の到来が確実視されているなら、リサイクルのところを抑えていくのも一つの戦略ということですか。続きは本紙で

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

インタビューの最新記事もっと見る