米国食品医薬品局(FDA)の諮問委員会はこのほど、米メルクが開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬「モルヌピラビル」について、緊急使用許可(EUA)を支持する勧告を出した。重症化リスクがある軽症~中等症患者が対象。近くFDAが正式に許可する可能性は高いが、採決に参加した諮問委メンバーの4割以上は反対した。

 賛成13票、反対10票でEUAを支持する結論を出した。発症から5日以内の軽症~中等症患者のうち重症化・入院リスクが高い人に限定する。催奇形性の可能性が否定できないため、妊婦の服用は推奨されない見込み。

 専門家の4割以上が反対を投じた要因の一つが、治療効果に対する疑念だ。メルク臨床試験の中間解析で重症化リスクが約半減するデータを得て申請したが、追加解析ではリスク低減の効果が30%減に縮小した。諮問委では、高い有効性が証明された他の経口治療薬が今後承認された場合、EUAは取り消す意見も出た。米ファイザーが申請中の飲み薬は、同様の患者層に対し重症化リスクを最大9割低下させる中間結果が出ている。

 近くFDAが最終的な審査結果を出す。諮問委の勧告に従う義務はないが、同じ結果が出ることが多い。11月4日に英国が世界初承認し、日本も近く申請予定。

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