厚生労働省は、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの一部ロットの使用見合わせを発表した。バイアル内の異物混入が複数の接種会場から報告されたため。対象となるワクチンは約163万回分。すでに接種を受けた人もいるが、これまで健康被害は報告されていないという。異物の詳細や原因はモデルナが調査中だが、スペインの製造委託先でゴム片が混入した可能性があるようだ。

 今月16日以降、同ワクチンを使用する職域接種・自治体の大規模接種会場8カ所で、使用前のワクチンのバイアル内に異物が発見された。異物混入が報告されたのは、25日時点でバイアル39本。モデルナ製を国内供給する武田薬品工業が各施設から連絡を受け、厚労省に報告し、安全優先のため関連ロットの接種見合わせを決めた。

 使用中止するのは、異物混入が確認された1ロット「3004667」と、同じ製造ラインで同時期に製造された2ロット「3004734」「3004956」。すでに全国863カ所の接種会場へ配送され、接種された人もいるという。これまでに健康被害などは報告されていない。武田薬品は代替品を供給するなどして、「接種への影響を最小限にするよう努めていく」としている。

 日本向けのモデルナ製ワクチンは、スペインの製薬企業ROVIの工場で製造されている。厚労省によると、同工場では中止対象の3ロットが製造された後に大規模なメンテナンスが実施され、直近の出荷分は別の製造ラインで作られている。

 異物の正体は現時点で不明だが、厚労省は、バイアル充填時に混入されやすいというゴム片の可能性が高いとみている。海外でもモデルナ製のバイアルでゴム片の混入が報告されているという。ゴム片が入っても滅菌性は担保されるとして、「健康リスクはそれほど大きくないだろう」(同省)としている。

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