厚生労働省は10日に開催した厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会で、ステンレス片の異物混入が判明したモデルナ製新型コロナウイルスワクチンにかかわる調査結果などを報告した。異物混入の可能性があり自主回収されているロットで死亡例が報告されているが、ワクチンや異物混入との因果関係は現時点で「評価不能」とした。だが重大な懸念はないとして、回収対象以外のワクチンは従来通り使用を認める。

 モデルナ製ワクチンは、使用前のバイアル内で異物が確認された製造ロットなど3ロットが自主回収され、うち1ロットでは接種後の死亡例が3例報告されている。厚労省の調査では、最初の1例については、死因は致死性不整脈と考えられるが、ワクチンとの因果関係や異物混入があった場合の影響は「評価不能」とした。残り2例も死因調査や解剖の結果が出ていないため評価不能。

 3例は30~40歳代の男性。モデルナ製で報告されている40代以下のすべての死亡例は10例で、約3割を回収対象のロットが占める。部会委員からは「死亡頻度が高いのではないか」との指摘も出たが、厚労省は「現時点で明らかに高いわけではない」との見方。副反応の頻度も他ロットと同様との見解も示した。

 委員からは、武田薬品に対し、国民にとって分かりやすいリスクコミュニケーションを充実させること、委託製造先のスペインのROVI(ロビ)が行う再発防止策について実施期限を明確にすることを求める意見などが出た。

 今回の部会から8月下旬に接種が始まった英アストラゼネカ製ワクチンの副反応報告も始まった。だが接種数がまだ少なく、同ワクチンで懸念されている血小板減少にともなう血栓症(TTS)や死亡例の報告はゼロだった。医療機関8拠点で行っているコホート調査では、1回目接種を受けた約30人のうち接種後に発熱があったのは約3割、接種部位の痛みは6割だった。また1割程度は、接種部位の赤み(発赤)が1週間後も残っていた。

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