シンガポール/米国のゲノミクス企業であるルーセンスは、RNA評価向けに核酸調製を安定化させる「SAFER-Sample」キットを開発した。新型コロナウイルス感染症などのウイルス感染検査をサポートする試料採取メディカルデバイスで、最大1週間にわたり室温でウイルスRNAの安定状態を保つことができる。
 SAFER-Sampleキットは、試薬がシンガポール科学技術研究庁バイオ工学・ナノテクノロジー研究所で発明。他の検体輸送媒体と比べ、室温でRNAウイルスゲノムの安定性向上が可能で、より正確な検査結果につながることが実証されている。
 ウイルス感染の確定診断には、患者の鼻や喉からスワブ採取が必要で、これら試料を冷却媒体で輸送することが推奨されている。しかし冷却媒体は簡単に入手できるわけではなく、世界的に不足している。とくに長距離に位置する検査センターなどに常温輸送した場合、検体が乾燥、コンタミ、腐敗により、事実と異なる検査結果を招くことも多い。正確な診断検査は試料の質、保存、検査所までの輸送に影響される。
 現在、シンガポール国立感染症センター(NCID)がSAFER-Sample試薬を用いて、採取した患者検体の評価を実施中。また、医療従事者の安全性を高めながら患者試料を採取・処理するための、試料採取時にウイルスを不活化する特性について評価が進められている。

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