自粛ムードの年末年始は過ぎたものの、正月気分が抜けきれないのは例年通り。そしてもう、正月飾りを出していい松の内最後の1月7日だ。この日に食する七草粥には、正月のご馳走に疲れた胃腸をいたわり、青菜が不足しがちな冬場の栄養補給を促す効用があるのはご存じの通り▼この時期にスーパーなどで食材を見かける。理にかなった風習だが、実際の調理となると、なかなか踏み切れないようだ。もともとは唐の時代、1月7日の「人の日」に七種菜羹という体にいい7つの草や野菜を混ぜた汁物を食べる風習が始まったのに由来する。無病息災を祈る意味のほか、その日に官吏昇進を決めていたことから立身出世も願ったという▼企業活動は始まったが、新年のあいさつ回りや業界団体の賀詞交歓会も見送りが相次ぎ、何となく新年の区切りが付かない人も多いことだろう。企業によっては社長訓示を3連休明けの12日に行うところもあるようだ。慣例に倣わない分散型の取り組みはウィズコロナ時代を感じさせる▼年末から新型コロナウイルスの感染拡大が勢いを増した。そしてきょう、首都圏の一都三県で2度目の緊急事態宣言の発動が決定する見込みだ。経済活動と感染拡大の抑制、まずは健康が第一なことは言うまでもない。七草粥に込められた願い、叶うといいが。(21・1・7)

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