三菱ケミカル、グループ会社の大阪化成、北里研究所の3者は20日、大阪化成が持つ抗菌・抗ウイルス成分「マルカサイドAV」の加工を施した生地が新型コロナウイルスに対し短時間(1分間または10分間)で不活化効果を示すことを確認したと発表した。3者は引き続き共同研究を進め、医療機関で使用される白衣や防護服、カーテンなどへ用途展開を図り、医療現場の感染拡大防止に貢献する考え。今回の共同研究の成果は、3者共同名義による共同特許出願の手続きを完了した。

 今回、マルカサイドAVを加工した生地に新型コロナウイルスを培養したウイルス液を染み込ませ、常温で1分間または10分間放置し、その後に反応を停止させた。生地に含まれるウイルス液から新型コロナウイルスを洗い出し、ウイルス感染価を測定し不活化を確認した。不織布の場合、1分間で約100分の1以下、10分間で約1万分の1以下に不活化したとしている。

 マルカサイドAVは有機系第四アンモニウム塩を主成分とする水性剤で、主に繊維加工剤として使用される。急性経口毒性・変異原性・皮膚刺激性・皮膚感作性の安全性が確認されているほか、各種ウイルスに対する抗ウイルス効果や、グラム陽性菌群・同陰性菌群・真菌(カビ)など幅広い菌種に効果を発揮する。

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