三菱ケミカルホールディングスは23日、2021年4月1日付で社長交代すると発表した。新社長にはベルギー出身でロケット社CEOのジョンマーク・ギルソン氏を招聘する。越智仁社長は来年6月の株主総会を経て退任する。21年度から始動する新中期経営計画の断行にあたり、欧米化学企業の経営者として経験豊富なギルソン氏の指揮の下、ライフサイエンス・ヘルスケアと機能化学を融合した真のグローバル企業を目指す。

 都内ホテルで会見を行い、社外取締役で指名委員会の橋本孝之委員長は社内3人および社外4人(海外)の候補から選定したとし、「その中から最も副作用が低く、改革コストが小さい人を選んだ」と説明した。指名委員の1人である小林喜光会長については「取締役として残ってほしいと話した」と述べた。

 ギルソン氏は「世界はサステナビリティの視点が不可欠。三菱ケミカルHDはKAITEKI経営で体現し環境と社会に貢献し、強力な財務力を持つ。これからの世界を変えられるのは強力な財務力を持った企業。化学産業は高付加価値化が課題だが、ウェルビーイング(健康、栄養など)、コネクティビティ(通信、デジタルなど)、サステナビリティをキーワードに顧客に最高の価値を提供できる企業を目指したい。日本に5年駐在した経験もあり、日本の文化もよく理解しているつもり。誰とも話し、目標を決めたらチーム一丸で取り組む」と抱負を述べた。

 越智社長は「ホールディングスとして一つの傘に多くのグループ会社を結集し、とくに人材が集まりアイデアも集まってきた。重視する機能化学については隣接する領域へ拡大させる計画がなかなか完ぺきには進まなかった」と積み残した課題を話した。

 越智社長は、15年4月に小林喜光現会長からバトンを受け就任するとともに、中核事業会社の三菱化学社長も兼任。17年4月の三菱化学、三菱レイヨン、三菱樹脂の3社統合による三菱ケミカル発足の陣頭指揮を執るとともにグループの融合とシナジー発現に尽力した。さらに、子会社化した大陽日酸(現日本酸素ホールディングス)の欧州における大型M&Aや、田辺三菱製薬の完全子会社化などを行い、小林氏が築いたホールディングス制の下で拡大路線を一段と前進させた。また、収益力の高いグローバル企業を目指したポートフォーリオ改革と海外展開の強化、デジタルトランスフォーメンション(DX)や働き方改革といった基盤強化を推進した。

 〔ジョンマーク・ギルソン氏〕1989年ダウ・コーニング入社。05年バイスプレジデント兼スペシャリティケミカルズ事業部門エグゼクティブバイスプレジデント、11年アヴァンター・パフォーマンス・マテリアルズ社CEO、12年ニューシルテクノロジー社バイスチェアマン兼COO、14年ロケット社CEO。ベルギー出身、56歳。

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