例年とかなり違う春になった。色々なものが切り替わるはずの新年度。新型コロナウイルスの影響を受けて企業の入社式は相次ぎ見直され、場所や時間の分散実施、中止してウェブ上でトップメッセージ、延期などさまざま。新入社員の数が多い大企業ほど工夫を強いられる▼学校の卒業式もほとんどが規模を縮小し、代表生が卒業証書を授与されるぐらいの大幅簡素化が図られるところが大半。大学は入学式の中止を相次ぎ発表、授業開始時期も延期される。とくに卒業式は思い出に残る瞬間であり、小中高など長引く休校で久しぶりの再会が学校最後の日となる。初めて経験する小学生は可愛そうとしか言いようがない▼卒業旅行も今年はかなりの縮小を余儀なくされる。海外旅行は大幅に減少し、国内も計画の見直しが相次いでいるという。卒業の年にコロナに振り回されたことは記憶に残るといえるだろうが、それぞれの胸に何か刻まれるものを見つけて欲しいものだ▼日本政府観光局が発表した2月の訪日外国人の数も前年同月比で約6割減った。下落率は東日本大震災直後の2011年4月に次ぐ大きさだ。3月はさらに落ち込みが予想される。この騒動で東京五輪・パラリンピックの延期も決まった。世界中が遮断された現状、本当の切り替わりまで気持ちを強く持ちたい。(20・3・26)

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