「ベーブ・ルースを震撼させる」。連日、大活躍の報道である。二刀流プレイヤーとして前人未踏の挑戦を続ける大谷翔平選手。メジャー4年目にして持ち味を覚醒させている。しかし天才といえども、壁がないわけではない▼メジャー入りが決まった当時、メディアは「メジャーで二刀流など通用しない」と酷評していた。デビューした18年こそ二刀流で活躍したが、その後、肘、膝と2度の手術を実施。打撃に専念するシーズンが続いた。しかし今シーズンは、肘の負担を可視化するセンサーを装着したり、投球と打撃のフォームを変えたり、工夫を凝らしたことが快進撃を支えているようだ▼誰しも大谷選手になれるわけではない。持って生まれた才能や体格、センスと言ってしまえばそれまでだが、体を鍛え、才能やセンスを磨き、努力することは誰しも可能である。野球少年たちが大谷選手の活躍を見て憧れ、努力することで大谷選手とはまた違う逸材が生まれるはずだ▼実際、女子プロゴルフの世界はそうした状況にある。宮里藍選手の活躍に刺激を受けた若い選手が毎年続々と現れ、世界メジャーも制している▼ビジネスの世界も同じ。今は順位が低くても、周りの評価に振り回されず、強みに磨きをかけ、改善し続ければ道は拓ける。世界メジャーも夢ではないはずだ。(21・7・5)

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