毎年、世界中で約500万人が会場に訪れるのが「世界報道写真展」。オランダの世界報道写真財団が主催するコンテストの受賞作品が展示される。東京では恵比寿の東京都写真美術館で開催される。残念ながら今年の開催日時は未定だが、週末になるとかなりの入場者がある人気イベントだ▼2019年に撮影された写真が対象となる第63回の大賞に輝いたのはAFP通信に所属する千葉康由氏。アフリカ北東部のスーダンで行われたデモで携帯電話のライトに照らされながら抗議の詩を暗唱する若者の姿を撮影した。日本人が大賞を受賞するのは41年ぶりで4人目となる▼スーダンは長期にわたる独裁政権が退陣に追い込まれた後、文民統制を求めるデモ活動が活発化。AFP通信のウェブサイトで千葉氏は「革命を起こそうとする人々のくじかれることのない結束に心を打たれた」とコメントしている▼4000人以上が応募する世界報道写真コンテストは、この地球で起きているさまざまな出来事を映し出している。ここ数年は地域紛争や内戦の影響にともなう貧困問題などを扱う作品が多かったと記憶している▼20年は新型コロナウイルスが大きなテーマになることは間違いない。世界の写真家達は、人類が大きな危機に立ち向かっていく姿をどのようにとらえるだろうか。(20・5・8)

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