上場各社の4~12月期決算発表が先週末でほぼ出揃った。好業績であればもちろん、減収減益を余儀なくされた企業でも、その要因分析を語る各社経営陣の説明に淀みはない。ところが、今後の見通しを問われると「不透明」「先が読めない」といった言葉が相次いだ▼通期業績見通しを下方修正したうえで、さらなる修正の可能性に言及した企業もある。中国に端を発した新型コロナウイルス感染症の流行拡大の影響は計り知れない。これがどこまで広がるのか、沈静化する時期はいつ頃か、現時点では全く予測できない▼小売りや運輸、観光など、すでに影響が鮮明な業種もある。強く懸念されるのが、中国国内の工場停止の長期化によるサプライチェーンの寸断。製造業各社は生産体制維持に懸命だが、複雑で長い部品供給網の末端までは把握できていないのが実情だ▼これは世界規模の話でもある。中国は世界の工場であり、国内の混乱が長引くほどに世界経済への悪影響は増幅する。感染拡大を受け、世界各地で展示会・見本市など大型イベント中止も相次ぎ、経済効果を喪失させてもいる▼日本経済はもとより世界経済が深刻な打撃を受けつつある。感染拡大防止はもちろん、今後の世界経済の危機回避についても、各国が認識を共有し連携した対策の具体化を検討すべき局面だろう。(20・2・17)

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