きょう7月15日は新暦で半年生存の無事を祝い、祖先の霊を供養する中元。正月15日の上元、10月15日の下元と合わせて「三元」とする中国の習慣が伝わったものだ。「盂蘭盆会」と日が重なったため、祖先の霊を供養して両親に食べ物を贈るようになった。これが目上の人、お世話になった人などに贈り物をする「お中元」の由来になったという▼そのお中元だが、お歳暮と同様に行う人は減っている。団塊世代が定年で引退し需要がなくなったり、仕事関係でのやり取りをしない人の増加といった理由が考えられる。昔からではあるが、中元・歳暮の習慣がない若い人の存在も確実に大きな要因となっている。消費の冷え込みは、これに追い討ちをかける▼パソコンで贈り物を容易に選べる便利な環境にあるが、それでも従来の習慣に頼る必要性は格段に減っているようだ。ネット上だけのやり取りは人間関係の希薄化といった懸念が否定できないものの、これも時代の流れ。新たな習慣づくりに期待がかかる▼発泡酒や第3のビールを毎日のお供にしている人は、少し高めのビール詰め合わせは嬉しいことだろう。お中元市場が縮小するなかで、こういう喜びが減っていくのは確かに残念なことではある。ネット社会、ウィズコロナ。感謝の気持ちを伝える新たな術を考えなくては。(21・7・15)

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