中国の化学品市場は第2四半期(4~6月期)以降に回復期を迎える-。中国石油・化学工業連合会(CPCIF)の傅向昇副会長は定例の経済状況報告の場で新型肺炎の影響や業界を取り巻く環境認識などについて語った。足元は逆風下にあるものの需要は今後回復し、化学品市況も徐々に上向くとの楽観見通しを展開。石油・化学産業全体の2020年通年の売上総額は前年比5%増と予想した。このうち化学工業は同7%増と高い予想値を掲げた。第13次5カ年計画(13・5)の最終年を穏健に締め括り、次期でも安定成長を続けたいとの思いがにじむ。
 CPCIFは毎年、年初に北京で記者会見を開き、石油・化学産業の前年実績や見通しを報告してきた。新型肺炎の影響を受けた今年は会見を開かず、ネット配信を通じて傅副会長が伝えた。
 20年の石油・化学産業全体については、世界経済の下押し圧力が強まり、貿易摩擦や産業全体のコスト増、輸入品圧力の増大といった負の要因があるものの下期にかけて回復するとの認識。「世界経済は低成長を維持し厳しい挑戦も待っているが、『前低後高』で穏やかに回復する」と見通す。全体の利益総額は約8%増と、前年(14・9%減)からの回復を見込んだ。
 新型肺炎の影響については、足元、川上の大手企業は生産を継続しているものの、川下の販売や物流が停滞し、生産調整を余儀なくされてきたと分析。隔離措置などがネックとなって消費が落ち込み、エンドユーザーの稼働率低下につながっている。第1四半期(1~3月期)は「燃料油や化学品などの生産、販売が明らかに減速する」。
 もっとも、収束すれば「川下の消費は必ず回復してくる」と践んでおり、過去数年の石化製品消費量の着実な増大を引き合いに「需要の不均衡で製品価格も回復する。第2四半期以降は市境が活況を呈し、企業利益も増えてくる」と期待を込めた。
 CPCIFは春節(旧正月)以降の関連業界の状況も調査。国有中央企業の操業再開率は現在、97%程度まで引き上がっているという。影響が色濃く出ていた中小零細企業についても、カーバイドやソーダ、塗料など15業界、約700社に聞き取りしたところ、3月2日時点で事業再開率は75%、平均稼働率も75・4%に回復。2月15日時点と比べてそれぞれ10ポイント、2・6ポイント改善した格好だ。また、カーバイドやソーダ、クロルアルカリなど11の業界団体において再稼働した企業175社に対する調査では平均出社率は83・9%だった。
 傅副会長は、新型肺炎がまん延しても業界が進むべきトレンドは不変だとし、「13・5の最終年に成果を出し、安定成長、伝統産業と新業態、リスク管理、持続可能な発展といった課題を克服して、業界の高品質発展を続けたい」と語った。(但田洋平)

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