中外製薬は4日、同社創製のバイオ医薬品「アクテムラ」について、入院中の成人を対象とした新型コロナウイルス感染症治療薬として米国食品医薬品局(FDA)が優先審査指定を行ったと発表した。中外と同じスイス・ロシュグループの米ジェネンテックが申請し、FDAの承認判断は2022年下期を予定する。すでに日本や欧州などでは同感染症薬として承認を得ている。

 入院患者5500例以上を対象に行った4つのランダム化比較試験での成績に基づきジェネンテックが申請していた。4試験の臨床エビデンスを総合した結果、ステロイドの投与を受けており、酸素投与または人工呼吸を必要とする入院患者の予後を改善させることが示された。承認された場合、入院中の成人患者の治療薬として免疫調整薬では米国で初めてとなる見込みだ。

 アクテムラをめぐっては、21年6月にFDAから緊急使用許可(EUA)を取得し、現在、重症または重篤な入院患者を対象とした新型コロナウイルス感染症薬として16カ国で承認されている。また、低・中所得国での医療アクセス改善に向け、世界保健機関(WHO)より事前認証も取得している。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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