中外製薬の奥田修社長は、化学工業日報などの取材に対し、抗体医薬「アクテムラ」の新型コロナウイルス感染症に向けた適応拡大について「年内を目指す考えに変わりはない」と語った。日本では感染者数が減り、一部治験では患者の確保が難しくなっている。そのため、先行している「グローバル治験の結果と合わせて出すことも視野」に、年内申請を果たしたい考えだ。

 現在、中外は同社創製のアクテムラによる新型コロナウイルス感染症を対象とした国内第3相臨床試験(P3)に乗り出している。5月25日には患者登録を開始し、同感染症による肺炎重症患者10例を目標に掲げている。肺炎重症患者で生じる過剰な免疫反応、いわゆるサイトカイン・ストームを抑え込むと効果がアクテムラにあるとみられている。

 アクテムラをめぐっては、中外の戦略的提携先であるスイスのロシュが4月にグローバル治験をスタートしている。同感感染症による重症の入院患者450例を対象とし、「近く完了する予定」。中外が実施中の国内P3は、「グローバル治験とは似せて作ってある」といい、仮に目標症例数に達しなかったとしても、ロシュのデータとの併用で承認申請へ漕ぎ着けていく。

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