中外製薬は、新型コロナウイルス感染症を対象とした抗体カクテル療法について年内にも日本で承認申請する方針だ。米リジェネロン・ファーマシューティカルズが創製した療法で、中外は昨年12月にスイスのロシュを通じて、導入していた。米国では緊急使用許可(EUA)を取得ずみ。先月、日本でも国内第1相臨床試験(P1)を始めている。

 このほど開催した決算説明会で、奥田修社長が明らかにした。同療法は2種類のウイルス中和抗体「カシリビマブ」「イムデビマブ」を組み合わせ、患者に投与する。米国では入院していない軽度から中等度の患者が対象。海外の複数のP3試験で主要評価項目を達成している。

 新型コロナウイルス感染症薬への転用を目指している中外創製の関節リウマチ薬「アクテムラ」については、引き続き年内の承認申請予定を維持する。海外を中心に進む治験では結果が分かれるが、「治療に貢献する可能性は否定されていない」(山口哲弥上席執行役員)との見方だ。ロシュと連携しつつ、主要国・地域の当局との相談を進めていく。

 アクテムラの生産能力も対応できているとしており、スイスのノバルティスで受託製造が始まったことなどに関しては、「オプションが増えた」(板垣利明上席執行役員)と意義を強調した。

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