あるところに老人が住んでいた。ある日、老人が飼っていた大事な馬が隣の国に逃げてしまった。周囲の人々が気の毒に思い慰めたが、老人は「不幸とは限らない」と答えた。翌年、その馬が名馬を連れて戻ってくる。周囲の人々が驚いて祝福すると、老人は「幸せとは限らない」と答える。ある日、老人の息子が名馬から落馬して大ケガをしてしまう▼人生における幸不幸は予測しがたく、何が起こるか分からない。週末のゴルフでは、午前中は絶好調だったのに、午後に突如不振に陥ったり、その逆もしかり。会社では、新人が期待以上に活躍し出す一方で、期待の若者が去って行ったり。人間万事塞翁が馬とはいうものの、人間だから一喜一憂してしまうのである▼世界は未曾有の事態に直面している。コロナが落ち着かないうちに、ウクライナ戦争が巻き起こり、21世紀かと目を疑うような惨劇が連日、報道されている。一方で温暖化は年々進行し、地球環境は待ったなしの状況に置かれつつある。これらを相殺するような、世界に幸福をもたらす事象が起こらなければ、バランスが取れない▼3月期決算がこれからピークを迎える。化学企業は過去最高水準の企業も少なくない見込みだが、チャンスの後にピンチありだ。そして、ピンチの後にチャンスありと願う。(22・4・25)

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

セミナーイベント情報はこちら

精留塔の最新記事もっと見る