NASAの無人探査機が再び火星着陸に成功した。今回は生命が存在した証拠を見つけるのがミッションという。大気の大半はCO2が占めるが、わずかながら酸素も存在し、過去には水もあったといわれている。生物がいたとしても不思議ではない。米テスラのイーロン・マスクCEOは本気で火星旅行を計画しているが、遠い将来、人類は火星に移り住むようになるのか▼米国は120年ぶりといわれる大寒波に見舞われ、各地で大規模な停電や交通機関の麻痺、工場の停止などが続いている。日本でも先ごろ、10年前の東日本大震災の余震として大きな地震が東日本を襲った。科学技術によって自然災害を克服していくことは大事だが、これまでのように地球上で快適な生活を続けるには、人類は何かを大きく変える必要があるのではないか▼新型コロナウイルスのワクチンができても、国同士や国の中でも争奪し合っている。東南アジアでは軍事政権や王様が幅を利かせ、大勢の市民が苦しんでいる。多くの国が30年後のカーボンニュートラルという壮大な目標を掲げるが、このままでは皆自身の利益にばかり固執し、火星に移住したところで争いが絶えないのは目に見えている▼ジョン・レノンが「世界は一つになるんだ」と歌ってから50年。この間、人類は何を学んだのか。(21・2・22)

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