関東ではこのところ、さわやかな晴天が続いている。見事な青空を仰ぐといつも思い出すのは、子供の頃にテレビでみたあのヒーローの勇姿だ。人類・地球を脅かす敵を見事に退治すると、ウルトラマンはシュワッチ!のかけ声とともに大空に向かって飛び立ち、白い雲の中に消えていった▼そのヒーローは、破壊的な光線で敵をせん滅するなど強大な力を備える一方で、致命的な弱点も持っている。M78星雲にある光の国からやって来たというウルトラマンのエネルギー源は光。しかし地球では太陽光のエネルギーが弱いため、3分間しか活動できない。それでもウルトラマンは戦う。危機を警告するカラータイマーが点滅しても、正義のため最後まで力を尽くすウルトラマンは、まさに救世主だ▼パンデミクス、気候変動、経済危機…。見上げる空と裏腹に、人類の周囲には暗雲が垂れ込めている。まだあった。分断、ポピュリズム、大国の蛮行、いかんともし難い格差社会…。誰か、ウルトラマンを呼んでくれないか。そうつぶやきながら、もしやと思い再度空を眺めてみる▼続編ともいうべきウルトラセブンも併せ、ウルトラマンはいつまでも心に残るヒーローだった。大人になり、マッハ5で空を飛ぶウルトラマンは、物理的には首がもげてしまうはず、という本を読むまでは。(20・11・17)

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