仏サノフィは28日、米トランスレート・バイオと開発してきたメッセンジャーRNA(mRNA)技術を使った新型コロナウイルスワクチンの開発を中止すると発表した。最初の臨床試験で良好な免疫原性や安全性を確認したが、すでに他社のmRNAワクチンが十分供給されているため撤退する。今後は季節性インフルエンザに対するmRNAワクチンや、組み換えたんぱく型のコロナワクチンの開発に集中する。

 mRNAコロナワクチンの第1/2相臨床試験(P1/2)を実施した結果、接種2回で抗体陽転率が90~100%を記録し、中和抗体が誘導された。だが、先行するmRNAコロナワクチンがすでに普及しているため、P3には進めずに開発を終了する。

 mRNAワクチンの研究開発自体は継続する。サノフィは先ごろトランスレートの買収を決め、mRNAワクチン市場に本格参入する方針だ。ビオンテックなどと同様に、今後は修正型mRNAのワクチン開発に注力する。季節性インフルなどの感染症ワクチンや治療薬の開発を進める。

 コロナワクチン開発では、英グラクソ・スミスクライン(GSK)と提携している組み換えたんぱく型のワクチン開発に専念していく。近くP3結果が出て、年内にも各国で緊急使用許可などを申請する。3回目のブースター接種用にも開発する。

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