住めば都。どんな不便な田舎でも住み慣れたところが一番だ。一方、住まば都。どうせ住むなら便利な都会の方がいいと思う人もいる。ただ、首都圏にあって、どんなに栄えた街でも、その土地からくるイメージが消費者意識を大きく左右している▼リクルート住まいカンパニーが公表した住みたい街ランキングの関東版では、埼玉県の大宮が昨年に続き4位に入った。それも昨年よりポイントを上げ、3位の吉祥寺に迫る勢いだという。このままいけば首位を続ける横浜、恵比寿に続き、大宮がトップ3に躍り出る日が近いかもしれない▼子育て環境や交通インフラが整っているうえ、東京近郊にありながら家賃や土地の割安感から、大宮は昨年の調査で大きく躍進したようだ。埼玉県では大宮と主役の座を争う浦和が10位、赤羽やさいたま新都心もベスト20に名を連ねている。いわゆる埼玉を『ディスる』映画が昨年大ヒットし、ランキングに影響したかは定かではない▼一方、上位の常連だった武蔵小杉は順位を大きく下げた。駅の混雑が常態化しているほか、昨年の台風19号によるタワーマンションの浸水被害もイメージを悪化させた。人気は移り変わり、それに安住してはいられない。『やっぱり◯◯いたま』と言われる日が来ないよう、居を構える立場から祈らずにはいられない。(20・3・12)

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