信越化学工業は、無機薄膜コーティング液で抗菌・抗ウイルス機能を高めた新製品の販売を開始した。7月に出荷を始めた「テルサス RN」は2種類の無機材料を使って、同社の既存品に比べて抗ウイルス性を高めている。新型コロナウイルスにも高い性能を持つ。不特定多数の人流がある施設、環境に使われる建材用途、住宅用建材用途で自社既存品との代替を進めるとともに、屋内環境の安全、衛生ニーズを取り込む。

 テルサスRNは、光触媒による機能性水系ゾル製品群「テルサスシリーズ」の屋内向け既存製品「IN」タイプの機能を高めた新製品となる。酸化チタン光触媒コーティングで抗菌機能を付与するINに対し、RNは活性成分に酸化チタンと銀の2種類のナノ粒子を使用しており、相乗効果によって抗菌・抗ウイルス効果を既存自社品から向上させた。

 耐水、耐光環境下で抗菌性、抗ウイルス性とも99%以上の減少率を示す試験結果を得て抗菌加工、抗ウイルス加工両方で、国内の有力な認証であるSIAA認証を取得した。

 新型コロナウイルスにも効果がある。神奈川県立産業技術総合研究所で実施した試験では、テルサスRNを塗布した表面で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対して99・4%の抑制効果を実証した。

 すでにINタイプからの置き換え提案に着手している。INタイプで納入実績があるオフィス、病院、公共施設や自動車、鉄道車両など不特定多数の人流がある環境に使われる建材用途や各種住宅建材向けに供給していく。

 垂直立ち上げや、衛生面の安全ニーズの取り込みを狙い、INタイプと同一コストでRNタイプを販売する考え。

 樹脂成分を使ったコーティング液に比べて透明性が高いほか、無機材料だけで構成しているため、揮発性有機化合物が溶出しない安全面も強み。また、液中金属成分の沈降を防ぐ均一分散性や、基材に密着・固定させるためのシリケート成分バインダー剤に独自技術を採用しており、効果が長期間持続することにも特徴がある。

 さらに、コーティング層に形成される微細孔によって基材の意匠性なども損なわないため、木材や石膏・漆喰など幅広い基材に塗工可能な汎用性も訴求していく。

 信越アステックが14、15日に産業貿易センター浜松町館で開かれる「ビルメンテナンスフェアTOKYO2022」展で披露する。

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

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