あらゆるものがインターネットにつながるIoTは業務効率化の有効手段となる。だが、人手不足で本当に必要な中小企業にとってハードルは高い。生産性を上げて収益を確保したいという願望はあるものの、導入するには果たしてどこをどうすればいいのか、全く見当がつかないところも多いようだ▼中小企業の生産性向上を目的としたIoT導入に対し、東京都など自治体も助成事業を行っている。塗料業界で同制度を利用するある企業は「申請や審査に1年ほどかかり、必要な用紙も大量」と、片手で書類の分厚さを表現する。簡単に助成金がもらえないのは分かるが、そっちに時間をとられ、その間の生産性が下がらないか心配になる▼「働き方改革と人手不足が直面する大きなテーマだ」。中小企業が集うある業界団体の賀詞交換会。団体長が冒頭のあいさつの中で強調した。人手が足らなくても効率よく働いて、これまでと同じ利益を出さないといけない。そのためアイデアが必要と指摘する▼長時間労働の是正など日本企業の労働環境を見直す働き方改革は、生産性向上や優秀な人材の確保につながる。そのため大手各社はフレックスタイム制やテレワークの導入など対応を強めている。ただ、人手が足りない中小企業の現実を考えれば、これは遠い絵空事にみえてくる。(20・1・30)

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