美しいと思うもの。それは精一杯生きる者の姿。なにも人間に限らない。この世に得た自らの生命を輝かせる者たちは美しい。充実した気持ちになるとき。それは、持てる力の全てを出して難関に挑戦したとき。お金もモノも関係ない。自分の頑張りを自分で認められるときほど充実することはない▼全力を出し切った。夏場のスポーツはそんな気持ちにさせてくれる。例えば炎天下のゴルフ場で18ホールを回り切ったときはそうだ。もし一人だったら途中で投げ出していたに違いない。限界まで頑張るには気力が必要で、それを引き出してくれるのが集団の力だ。そういうものをスポーツには感じる▼日曜日。きのうのプレーで疲れ果てたので、今日は一日休もうと考えテレビをつける。画面には日焼けした女子プロゴルファーと、その横に寄り添うキャディーが映し出された。待てよ、この人達はこの炎天下、バッグを担いで連日18ホールを歩いている。いや、小走りで走っているではないか。そう考えると自分の限界の低さを痛感し、充実感も消えてなくなった▼月曜日、生憎の大雨で駅のエスカレーターが故障しており、改札の3階まで階段を上らされた。両足が異常に重く息も荒い。キャディーに触発され、あの後スクワットなどしなければ良かった。限界を知ることも重要だ。(20・9・8)

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