<世界に誇る「ニュースバル」駆使、ビヨンドEUV実現めざす>

 兵庫県立大学高度産業科学技術研究所のニュースバル放射光施設(ニュースバル)は、極紫外線リソグラフィー(EUVL)の国内研究拠点として活発な活動を続けている。今年4月には新ビームラインを導入。波長13・5ナノメートルのEUVによる研究開発に加えて、2030年をターゲットに波長6・7ナノメートルの極端紫外光源による「ビヨンドEUV」の研究も進めている。長年にわたりEUVL研究の第一線を支え、フォトポリマー国際会議やIRDSロードマップなど国内外で重要な役割を担う、渡邊健夫教授・研究所長に同施設の詳細や展望について聞いた。

▼…ニュースバルの概要について教えてください。
 「1996年から準備を始め、00年の施設稼働から20年以上継続して基盤技術を担ってきた。米ローレンス・バークレー国立研究所、欧州連合(EU)のIMECと並ぶEUVL研究の3大拠点の一角で、互いに鍛えている。現在は9本のビームラインがあり、3本がEUV専用だ。各ビームラインに4つほど評価装置があり、多彩な研究を実現している」

 「大学所属としては日本最大規模の施設で、EUVL研究に関連したシステム装置を網羅している。大学や兵庫県立先端科学技術支援センターなど、産学官の連携も密接で、共同研究契約により結果に対してしっかりとコミットするのも特徴だ。ただ実験結果を出すだけではなく、結果が何を意味しているかの科学的検証や、出てくる課題を今後どうやって解決するかの検討など、EUVL分野全体への示唆・提言(サジェスチョン)の役割も担っている。共同研究先は延べ200社を超え、昨年の20社に対して今年は25社と直近も利用が拡大している」

 「リソグラフィーは光源だけではなく、レジストやマスクの欠陥検査、レジストのパターン検査などトータルでやる必要がある。最先端の領域ではどう測定するかや測定基準など土台から作らないといけない。解析や手法をタイムリーに適用するため、測定装置はすべてオンリーワン。企業単体では解決できない課題は多く、産業に直結することを泥臭いところからやっている。EUVLに関する知見が集約しているのも強みだ。現状の露光装置は160億円程度と高額で、材料企業の導入は現実的ではない。開発の活性化で引き合いも増えている」

▼…EUVLの現状をどう見ますか。続きは本紙で

記事・取材テーマに対するご意見はこちら

PDF版のご案内

インタビューの最新記事もっと見る