今月から社名を63年ぶりに変更したソニーグループ。ソニーの社名は祖業の家電事業を担う子会社が受け継ぐ一方、ゲーム、音楽、映画、金融など多様な事業を一体で運営する体制を整え、グループの更なる成長を狙う。2021年3月期は連結純利益が1兆円を超える見通し。「プレイステーション」(PS)をはじめとするゲーム事業が家電を上回る収益の柱に成長したためだが、環境の変化を先読みし新しいビジネスモデルに挑戦した成果だろう▼家庭用ゲーム業界はファミコン登場以来、決まったハードと各種ソフトを販売するというビジネスモデルを40年近く続ける。しかしネット社会が広がるなか同社は10年前、サブスクモデルをPSに導入する。定額を支払えば期間内に好きなだけソフトを遊べるサービス「PSプラス」だ▼高額のソフトを購入するしかなかったユーザーは、PSプラスにより色々なソフトを味見できる。昨年末時点で会員数は4700万人を超え、ゲーム事業の屋台骨を支える。従来の延長線上にない新しい世界が待ち受けるなか、同社は家電、エンターテインメント、金融などを融合し新サービス創出に挑戦する▼間口が広く、あらゆる産業に通じ、課題解決の技術を蓄積する化学産業にとって、融合や挑戦がもたらす可能性は果てしなく大きいはずだ。 (21・4・5)

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