わが地元、千葉県の名産品といえば醤油、落花生がすぐ思い浮かぶが、調味料の「みりん」もそうだったとは知らなかった。日本の年間生産量は約9万3000キロリットルで、このうち千葉県産は約3万5000キロリットルを占め最も多い▼本みりんのアルコール度数は約14%。全国味淋協会のホームページをみると、戦国時代には甘いお酒として庶民に飲まれていた。調味料として使われ出したのは江戸時代後期で、鰻のたれ、そばつゆなどに用いられた。一般家庭に普及したのは大幅に減税された昭和30年代以降のこと▼江戸川沿いの流山が澄んだ色をした白みりん発祥の地。酒造業を営んでいた相模屋の二代目、堀切紋次郎が醸造に成功したのが文化11年(1814年)。近県産の上質のもち米、うるち米を原料として使えたことが大きかった▼背景には幕府の規制緩和があった。灘など関西の“下り酒”に負けない酒を関東でも作らせようとして紋次郎らが参加。しかし米の豊作で勝手造り令が出された結果、大量の下り酒が江戸に入り関東の酒が売れなくなったため、みりん造りに参入したようだ▼江戸時代には暑気払いとして、みりんに焼酎を加えた「本直し」が飲まれていた。それはきついという方には白みりんのトニックウオーター割りはいかがだろうか。柔らかな甘みがあって飲みやすい。(21・8・27)

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