協和キリンは1日、米アムジェンとアトピー性皮膚炎治療薬「KHK4083」の共同開発・販売に関する契約を締結したと発表した。アムジェンから契約一時金4億ドル(約440億円)を受領する。さらに、今後開発の進展などに応じて最大8・5億ドル(約930億円)のマイルストーンと販売ロイヤリティを受け取る。皮膚科領域に強みを持つアムジェンと提携し、先進7カ国(G7)地域で約3000万人以上が罹患しているアトピー性皮膚炎の治療薬として年間売上高10億ドル超を期待する同剤の開発・販売を加速する。

 今回の契約により、アムジェンが米国、欧州、日本以外のアジアでの治験、製造や販売を主導する。日本は協和キリンが単独で治験と販売活動を担う。協和キリンは国外の販売に関して、2桁%台の販売ロイヤリティを受領する。さらに、アムジェンは子会社デコード・ジェネティクスで4083のさらなる開発可能性も検討する。

 4083は協和キリンの完全ヒト抗体作製技術などを用いて創製した。今年2月には、中等症から重症アトピー性皮膚炎を対象とした第2相臨床試験(P2)で主要評価項目達成を発表。今後、P3実施を予定しおり、2025~26年度での上市を見込んでいる。

 アトピー性皮膚炎治療薬の世界市場は28年に2兆円以上の規模になるとの試算があり、成長潜在性が高い。協和キリンは4083を25年までの現中期経営計画で次世代戦略品の1つに位置づけ、将来的に年間売上高10億ドル超のブロックバスター化を期待している。一方、競合品の出現で激しい競争も予想されるため、炎症性疾患治療で国際的にプレゼンスの高いアムジェンと組んで早期の事業化を狙うとともに、大型製品に育てたい考え。

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