物価の優等生と言われる食材の代表格が卵。野菜、魚介類とは異なり、生産量は季節や天候の影響を受けにくい。ただ、卸売価格は当然変動している。荷受会社が需要と供給のバランスを勘案して鶏卵相場を毎日発表している▼このところ相場は上昇基調にある。指標となるJA全農たまごの相場(東京、Mサイズ)は1月の平均が1キロ当たり142円だったが、2月は183円、3月は220円と続伸。4月も直近で236円。鳥インフルエンザ流行による殺処分拡大で供給量が減少したことが要因とみられている▼需要の方はどうだろうか。巣ごもり生活による内食回帰で家庭向けは堅調に推移していることが想像できる。一方、業務向けは外食産業の時短営業などが大きな痛手。こちらの需要が回復していれば、もっと相場が上昇している可能性がある▼ただ、小売価格に大きな変動はみられない。総務省の小売物価統計調査によると、東京の1パック当たりの価格は220円前後で推移しており、昨年と変わらない水準。まさに優等生ぶりを発揮している▼卵はスーパーの特売品の常連でもある。卵で儲けなくても他の商品を買ってもらえれば利益を確保できるという理屈だろうか。価格が安定していることは消費者にとって嬉しいが、どこにしわ寄せがいっているのか気がかりだ。(21・4・16)

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