厚生労働省は14日、東京、大阪、宮城の一般住民約8000人を対象に先月実施した新型コロナウイルスの抗体保有調査で「陽性」と判定された8検体すべてでウイルス感染を防御する中和抗体が確認されたと発表した。

 6月の抗体保有調査は米アボットとスイス・ロシュの抗体検査薬の両方で陽性とされた検体を「陽性」と判定しており、例えば陽性判定が2人だった東京の抗体保有率は0・1%と算出した。

 国立感染症研究所が引き続き行った中和試験は陽性検体の血清と細胞、新型コロナウイルスを試験管内で混ぜ、細胞の防御力を調べた。細胞が壊れなかった陽性8検体からはウイルス感染を阻害する機能を持つ中和抗体を確認できた。

 一方で2社の検査薬のうち片方が陰性、もう片方が陽性と判定していた数百の検体の中和抗体は検出感度を下回った。厚労省によると、抗体検査には偽陽性が紛れ込む課題が残るほか、中和活性の低い抗体の可能性もあるという。

 結果を踏まえ厚労省は、先月公表した抗体保有率は正しい結果だったとしたうえで、偽陽性が一定程度含まれる現段階の抗体検査は一定の精度を満たす複数の抗体検査薬を用いる必要があると指摘した。今後は中和抗体の持続性も確かめる。

試読・購読は下記をクリック

新聞 PDF版 Japan Chemical Daily(JCD)

新型コロナウイルス関連記事一覧へ

ライフイノベーションの最新記事もっと見る