毎週土曜日、買い物のついでにクリーニング店に寄り、ワイシャツを出す。スーパーの中に店舗を構えているので便利だ。1173円です。あれあれ。ワイシャツ5枚の場合、千円でお釣りが来るはず。確かめると、原油高騰にともない値上げしましたとのこと。石油系溶剤を使うドライクリーニングだから当然だ。業界関係者として素直に納得した▼週明けの朝、クリーニングしたワイシャツのビニール(ポリエチレン?)を破り袖を通す。あれあれ。ボタンを締めようとすると首がとても苦しい。コストダウンのため溶剤を変えたか、あるいは劣悪な洗い方をしてワイシャツが縮んだに違いない。値上げしたのに仕事の質を落とすとは酷い店だ▼などと考えながら、クローゼットからスーツを引っ張り出してズボンを履く。お腹のボタンを締めようとしたときハッとした。ワイシャツだけでなく、スーツも縮んだのか。いや、そんなはずはない。スーツは洗っていない。ひょっとして、ワイシャツも縮んではいないのか。クリーニング店のせいで首が苦しいという推理が、頭のなかで一気に崩れていく▼洗面台の前に立った。近頃の食生活を振り返りながら、シャツに食い込む首を鏡で眺める。とくに先週は酷かった。暴飲暴食の記憶が次々と蘇る。朝食のトーストは半分だけにした。(21・12・21)

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